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page=21 :富樫氏先業碑
＜碑文＞
國家之治亂存亡雖氣運所使然其實由干撫安人民得其道與不得乎而民之懐而弗措亦豈有他哉永延元年富樫忠頼受
朝命爲加賀介而経三年欲解任然國民思其善政請重任於是朝廷聞知其國民保安之宜許重任忠頼卒其子吉宗襲職至
其孫家國構館於野々市家國四世之孫家直幼而不得襲職文治元年家直弟泰家以源頼朝之命爲加賀守護補左衛門尉
其後數世之孫成春與叔父泰高爭國而不止因割其土地各領半國文明六季至成春子政親遂亡其土矣葢富樫氏傳世二
十有餘経歳五百亦可謂久矣吾邦足利氏之季君臣相攻親戚相畔天下大亂豪傑起四方或一夕而夷滅者有矣或一旦而
興盛者有矣其間成敗存亡恰如奕棋矣當此之時獨富樫氏則不然自其祖就職子孫相襲上擁衛朝廷下撫愛衆民仁以懐
之讓以接之五百年間不失其土者非有得其道焉能如斯哉葢徳澤人民之深非一朝一夕之故矣今石川郡野々市村字館
之内御藏藪山川等皆所称富樫氏之遺迹也世遠人亡終至其事蹟煙滅無有知之者豈不慨歎之至哉野々市邨水毛生伊
右衛門懐其祖先之蒙恩澤欲刻其事千石以傳詞永遠使後人知其終始以余寺與富樫氏有縁故来請紀其事其志篤請固
矣義不可辭乃不顧不文爲記之鳴呼富樫氏之有功於加州其誰敢誣之也哉
明治廿二年晩春
加賀國大乗禪寺現住 麟童撰
陸軍少將従四位勲二等 岡本兵四郎篆額
長門豊浦 田上陳鴻書
（右）四百歳のむかし
語りを蛙かな
□□翁
可夕
（碑文の解読は六九頁）