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page=83 :ふるさと歴史シンポジューム
古代の家族と女性・児童
埼玉学園大学教授
服藤早苗
一
古代家族論
①家父長制家族説……1970年代までの通説
正倉院古代戸籍分析
父系制・一夫多妻妾制等から
②最近の古代家族説
・高群逸枝……『招婿婚の研究』1953年、
13
年を費やし研究
⇒南北朝以前は「婿取婚」、家父長制家族は未成立
・関口裕子……高群を批判的に継承、戸籍検討・家父長制史料検討
『日本古代婚姻史の研究』上下、『日本古代家族史研究』上下
塙書房
・義江明子『日本古代女性史論』吉川弘文館、他多数
◎奈良時代まで、男女対等に近い社会……結婚も男女対等
八世紀末以降男性優位社会
二
古代越前・加賀国における女性と家族
①宮人・采女として出仕する首長層女性
○『律令』後宮職員令
「凡そ諸の氏は、氏別に女貢せよ。皆年三十以下十三以上を限れ。氏の名に非ずと雖も、自ら進仕せ
むこと欲はば、聴せ。それ采女貢せむことは、郡の少領以上の姉妹及び女の、形容端正なる者をもち
いてせよ。皆中務省に申して奏聞せよ。」
天智天皇の宮人
道君伊羅都女は施基皇子の母……現在の天皇家の祖
史①
page=83 :②古代家族
母子+夫(義江説)
○『日本三代実録』仁和元(八八五)年十二月二十九日条
節婦……加賀国加賀郡大野郷住人道今古
史②
○道今古は位階を持つ地方豪族女性
実母と同居
婿取り
越前国江沼郡山背郷天平十二年計帳歴名
史④
○父系方針の戸
※実態は戸主妹と子ども、異父兄弟姉妹、母と子の通字名前、妻と妾が同籍等
古代戸籍は実態ではない。中国的父系戸籍の創設
実態
母子+夫
次第に父母子の同居が定着
○『続日本紀』宝亀九年十二月十五日
江沼臣麻蘇比に外従五位下(母の姓を継承か)
戸主の娘ではない。母方が郡司層(地方の豪族層)
③古代共同体的子育て……地域や親族で子育て
『日本霊異記』下巻第十六
史③
○横江臣成刀自女……子どもに授乳しないのに、子どもは育つ。子どもは恨んでいない。仏教を流布
するために授乳を奨める説話
三
童たち
①古代村落祭祀
年齢階梯による役割分担
「男女悉く集う」
②子どもへの眼差し
史⑤
足形・手形
生育儀礼は平安時代から……奈良時代までは共同体の子ども
参考文献服藤早苗『平安朝の父と子』中公新書、二〇一〇年三月刊行予定服藤早苗他『家族と結婚の歴史』森話社
服藤早苗『平安朝の母と子』『平安朝の女と男』中公新書