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page=26 :6. 高村仮説の検証
(1) 発見された数
これまでに泰澄ゆかりの寺から、荒彫りの半身像は13躰、荒彫りの立像は20躰発見され、数がこれだけ揃うと、泰澄作の可能性は、それなりに高いと判断する。
完成度の高い立像は8体で、数が少なく、確からしさは、低くなる。
また仲仙寺の十一面千手観音立像については、参考文献で、浦の「大荒比古柄結神社文章」に、天安2年(858)卯5月、浦の山上に千手観音像を祀り、中善寺と号した、と記されており、この案件は除外すべきかもしれない。
先に、高村仮説は、断定できないことが弱点と述べたが、取り上げた全ての事例を泰澄作とは言い切れない。
page=26 :(2) 作り方の特徴
似ているかどうかは主観の問題だが、作り方に特徴があるとなれば客観性が増してくる。次に作り方の特徴について考察する。
(a) 半身像
半身像は、私の造語であるが、これらの仏像は明らかに坐像ではない。或る人は、坐像が朽ち果ててこのようになったとか、立像が朽ち果ててこのようになったとか云うが、もしそうなら、朽ち果てていく段階で色々の形が残っていてしかるべきだが、全て腰の当たりで切断されたものである。これは、作られた時からこのような形だったと見るべきである。
泰澄は、立木を伐って仏像を刻んだ、その際、坐像に膝前を付けようとすると身体の方が小さくなってしまう、そこで膝前を付けない半身像を考え出したと想像できる、或いは膝前の代わりに小さな台座を付けた。
後の仏像にはこのような形はなく、泰澄様式と言えると考える。
半身像
坐像