押野タチナカ遺跡・押野館跡

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B07●押野(おしの)タチナカ遺跡・押野(おしの)館跡(やかたあと)

押野3丁目

　館野小学校運動場の東隣にある公園を中心とする一帯には、西暦200年頃の弥生時代後期を中心とした集落跡の押野タチナカ遺跡と加賀(かが)守護(しゅご)富樫(とがし)氏(し)の一族が、室町時代の頃に居住していた押野館跡が広がっています。

　弥生時代の集落跡では27棟の竪穴(たてあな)住居跡(じゅうきょあと)、倉庫と考えられる10棟の掘立柱(ほったてばしら)建物跡(たてものあと)が検出されました。通常この時期の竪穴住居跡の広さは30㎡から40㎡位の広さですが、タチナカ遺跡からは直径10mを超え広さも100㎡程の大きなものが3棟見つかっています。一般の住居とは異なり、村の共同作業場や集会場などであった可能性が指摘されています。

大型の竪穴住居跡

甕（かめ）

高杯（たかつき）

台付き壷

弥生土器

　押野館の最初の館主は富樫泰明(やすあき)の末子(まっし)家善(いえよし)で、1335年(建(けん)武(む)2)に加賀守護となった高家(たかいえ)の弟にあたります。家善は｢押野殿(おしのどの)｣と呼ばれ、1346年(貞和(じょうわ)2)大乗寺の明峰(みょうほう)素哲(そてつ)に田地５町と敷地を寄進(きしん)したことが知られています。(本19)

　県立図書館蔵の｢押野館跡図｣からは、館の周りに築かれていた土居(どい)の跡が江戸時代の終わり頃まで残っていたこと、敷地の大きさが東面49間(約88m)、南面56間(約102m)、西面87間(約158m)、北面27間(約49m)、東北面45間(約82m)ほどであったことを知ることができます。この図は1811～12年頃(文化8～9)に加賀藩士の湯浅(ゆあさ)玄斎(げんさい)が描いたもので、1981・82年(昭和56･57)の発掘調査では、館跡の周囲にあった堀と見られる溝の一部を南北に約140m離れて確認したことで、館の位置が確定しました。

　館跡からは14～15世紀の珠洲焼(すずやき)や瀬戸焼(せとやき)、土師質(はじしつ)土器(どき)(かわらけ)などが出土しています。

押野館跡図（押野村史から転載）

　新しい時期の遺物は15世紀後半頃のもので、1488年(長(ちょう)享(きょう)2)一向一揆の攻撃による高尾城(たこうじょう)(現金沢市)落城の時期とほぼ一致します。このことは、押野の一族が富樫氏宗家(そうけ)の守護政親(まさちか)と共に滅亡し、同時に｢押野館｣も廃絶(はいぜつ)したものと考えられます。(本8･15･37)

合子（ごうす　古瀬戸）

壷（古瀬戸）

鋤先

土師質土器（かわらけ）

押野館跡出土品

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