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page=10 :田植え 田植えは、その準備作業の苗取りや苗運搬をも含めると、1人1日でおおよそ8畝歩(せいぶ・約8a)前後が、精一杯という作業だった。集落内外での縁戚や近隣の大作り・小作り農家が、2・3戸で「結い(ゆい)」を結び、共同で田 植え作業にあたっていた。老人や学校に通っている子供たちも総動員されたことは言うまでもない。  バランスの取りにくい泥田の中で、3~5本の細い苗を中腰の姿勢で一株一株丹念に植え込んでいく単調な作業には、かなりの忍耐を必要とした。「早乙女」という言葉でも分かるように、女性の労力が主役であった。富奥地区では、8寸角くらいの木組の枠を回転させて、植え込む位置を前もって、泥田(どろた)に刻印する方式が一般的だった。一家の主人が早朝に、その日に植える予定の田にこの「枠回し」に入るのだが、冷え込んだ水田の中を裸足で何往復もする、それもまた厳しい作業だった。