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page=64 :豊かなコミュニティは、農業とともにある。 ■食卓から発想する農業 佛田●市街化が進み、富奥地区でもすっかり農地が少なくなりましたが、私はこれでいいと思います。自分たちがなぜこの土地に住んでいるのか、この土地でなにをしたいのか、どんな農業をしたいかが問われているのです。その結果が農地の減少なら、それもしょうがありません。私は農業を畑や田圃の上ではなく、食卓のうえから発想したいと思っています。農業を食という切り口で考えれば当然のことです。だから[ぶった農産]では蕪の生産からかぷら寿しの加工へと広げてきました。農作物としてだけではなく、食卓のうえでどうあるべきかを考えることが、私の農業です。まだまだ食糧不足のため量を追求していた昭和30年代とは異なり、農業はこの40年間で大きく変わっているのです。量の充足とともに品質、そして豊かさへと価値観が変わってきました。 林●量を求めていた昭和30年代が農協の全盛期だったといえるかもしれません。 佛田●農家の農業に対する考え方も変わりました。生活すべてが農業だった時代から、生活の一部として農業をとらえるようになりました。農家といわれる人々の生活のなかで農業が占めるウエイトが減り、農外収入が増え、地域のネットワークも広がっています。農業、農家、農協、すべてのあり方が変化しました。 林●21世紀は農業の時代だといわれています。異業種交流で出会った人たちは皆これからは農業だといいます。生命、自然という言葉をたどっていくと必ず農業にたどり着くように、生命と健康を支える安全で安心できる食料の生産を担う農業の重要性は高まっています。けれども農家だけは農業の時代がくるなんて思っていない。農業の重要性に気づいていません。 中村●だから富奥地区でもすっかり農地が減少しました。一部地区を除き、富奥はもはや準市街地であり、厳密には農村とはいえません。昭和30年代頃までの富奥が本来の意味での農村でしょう。 林●都市近郊の農業の場合、農地の減少はしかたのないことです。僕たちは農家から