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page=66 :売らない人は売らない。これはもう信念ですね。農業が好きだから農地を残すという人はこれからも絶対います。 佛田●農業法人はみなそうですが、計画的に農地を拡大したり社員を増やしたのではなく、少しずつ委託される農地が増え、人を雇わなければ作業ができなくなり、結果として現在の形態になっただけです。事業戦略に沿って計画どおりに進められる一般企業とは異なり、農家の形態や考え方、感情はそんなに単純ではありません。日本は建前は資本主義ですが、実際は社会全体がムラ社会主義ですね。 ■地域活動などすべてを含めて農作業 中村●父の時代はうちも専業農家でしたが、現在は兼業。私はサラリーマンを経て、平成元年に司法書士事務所を開設し、ずっと兼業でやってきました。母親が元気なので平日の管理は任せ、私は仕事の合間になんとかやっていますが、農業と司法書士のウエートは1対9、生活のなかで農業が占める割合はとても低いですね。 林●百姓って百の姓と書きますね、だからいろんなことをしていいんだと思います。地域活動もなにもかもひっくるめて、その人の農作業、だから専業農家って言葉はおかしいですよ。一日24時間、農業だけをしている人なんていませんよ。 中村●兼業とはいえ、やはり農業は好きですね。これまで農地を請け負いに出そうと思ったことはありません。請け負いに出せばラクだし、遊びにも行けますが、もともと根っからの百姓なんでしょう、苦労もあるけれど秋の収穫を終えると、ああよかったと思う。金銭的な価値だけではない満足感、百姓が好きという気持ち。これは思った以上に根強いものです。 小島●面倒な作業はあるけれど、やはり収穫は楽しいですね。私も補助的な仕事が多いのだけれど、できればずっと農業は続けていきたいと思います。 佛田●日本の農業を産業の一種と考えたらやっていけませんよ。たとえば中国やインドネシアなら産業としての農業は成り立ちますが、20世紀型産業としての農業は日本ではもう成立しません。けれど経済効率だけではなく、作り手と消費者とのつながりなど新しい視点でとらえるなら、農業は産業としてやっていけます。21世紀型産業としての可能性を持っています。 林●たいして儲からないけれど、お金以外に手に入るものはたくさんある。 佛田●それらすべてを含めたうえで、農業には可能性があると思えるのです。だから兼業農家っていちばんいいですよ。経済の基盤は他に求め、純粋にモノづくりの楽しみとして農業をする。2つの仕事を持つのは大変だけど、贅沢でいいじやないですか。 ■都市化の波をプラスに転化 小林●稲の勉強を目的に発足した[みのりグループ]から、安全でおいしいお米づくりをめざす有機栽培グループがうまれました。そのまま供出したのではせっかくの有機栽培のメリットは伝わらず、なんにもならないので、自分たちで販売先を探し、直販することにしました。お客様との契約による特別栽培米です。7、8人の小グループでの活動ですが、とても面白いですね。
page=66 :中村誠宏 農協青壮年連盟会員。測量設計事務所勤務を経て、平成1年司法書士事務所開設、水稲を栽培する兼業農家。野々市町中林在住、40歳。 小島敏枝 農協婦人部会員。水稲、丸芋を栽培する兼業農家。野々市町中林在住、44歳。