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page=68 :リ、農家は多くの選択肢を持つことができました。 ■地域を創る農協の役割 佛田●観光農業に代表されるように、農家以外の人にとって農業は特別のもの、非日常との出会いですが、これからは自分の身近に農業、あるいは農業的な環境を求めていくと思います。これまでずっと目指してきたモノ充足のアメリカン・スタンダードの豊かさから、自分たちなりの基準で豊かさを求めていくジャパニーズ・スタンダードへの転換にあたって、そのひとつの方向は農村にあると思います。農業がこのままの形で存続するかどうかはわかりませんが、農が身近にある町、家の前に田圃が広がる町、この写真集の中にもあるように、昔の山羊や羊を飼える環境ってある意味では豊かですよね。 林●農業を通じて豊かな生活を創造する、これがわが社の基本理念であり、豊かさとはなにかを模索することが僕の将来の道です。ずっとアメリカン・スタンダードな生活環境をめざしてやってきましたが、自分のスタンダードってなんだろう、企業としても成り立つだけの新しいスタンダード・モデルを確立したいと思います。無農薬や有機栽培など、だんだん農業も昔に還っています。自分たちが豊かだと思っていたことが、本当はレールを外れていたのではないかと思いますね。 佛田●これからは農業協同組合ではなく、農村協同組合であるべきです。農業協同組合は産業組合の流れであり、農業という産業の形成を目的にうまれましたが、コミュニティとして、地域をどうすべきかを考えれば、農村協同組合であるべきです。そうすれば農家はもちろんサラリーマンだってもっと積極的に参加できますよ。 小島●富奥の場合、農協婦人部といっても会員は農家ばかりではなく、一般のサラリーマン家庭も多く、ほとんど地域の婦人会とイコールです。もはや農家の女性だけを対象とした農協婦人部は成り立たない時代なのかもしれませんね。最初から間口を限定するのではなく、もっと対象を広げた独自の活動があってもよいのではないでしょうか。 小林●生産者だけが農業関係者なのではなく、毎日食事をしない人はいないのだから、自分たちの切実な問題として、より多くの人になんらかの形で農業に関わってほしいと思います。 林●富奥は農村と市街地の境目、文化と文化の境目だからいいんですね。近所にアパートが増えたといって嘆くだけではなく、アパートの人を自分たちのコミュニティに引き入れられるかどうかが地域の力の差だと思います。新しい力を柔軟に取り入れて活性化できる地域には魅力があります。反対にアパートを相続税対策としか考えない集落にはパワーがありません。 佛田●農を核にした地域づくり、農を通しての交流など、農協が農村のコミュニケーションづくりを担うべきです。また農村としてのアパート経営など、インフラと農村環境が相まって農村コミュニティの利益を生み出す経済活動の支援も大きな役割でしょう。地方分権が進めば進むほど、農協がこれから目指すべき地域のコミュニケーションづくりは、ますます重要になっていきます。