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page=71 :農業というビジネスがある、そして農業という生き方もある。無農薬、有機栽培を生き方の指針として志す人がいる。だから花卉栽培にも農薬は使わない。花は直接食べるものではないが有機栽培で育てている。  野菜や米は栽培方法を気にするが、はたしてどれだけの人が花を買う時に農薬の心配をするだろうか。そこまで消費者の意識は進んでいない。だから福田さんの花は輸送箱はもちろん、花屋の店頭においても無農薬と表示されることはない。花の持ちはいいけれど、無農薬それ自体は市場での付加価値になっていない。けれども就農当初から現在まで除草剤などの農薬は一切使わず、伸びた雑草を二人でせっせと抜く。  農業試験場時代の知識を活用して花卉栽培を始めたが、農業という生き方の原点は大学時代のネパール、インドの旅にある。  「日本は地に足がついていない。本来一次産業は自然の恵みで生産すべきなのに、1カロリーの農産物を1カロリー以上のエネルギーを使って生産している。農業といえと石油消費産業です。過去の貯金である石油を喰い潰している。貯金が底をつく日はきつときます。いつかこける、インドから帰った時、そう思いました」。  これまでは花卉栽培が中心だったが、今年から少しずつ野菜をつくり始めた。「見て楽しむだけの花より、もっと農業の原点に近いもの、実際に役立つ食べ物をつくりたい。無農薬、有機栽培で生命力にあふれた食べ物をつくりたい」。食べ物は身体にエネルギーや栄養を補給するだけのものではない.。野菜や肉など、そのものの生命力を身体に取り込み、自分の生命力を高めるためのものだ。  「理想は地域自給を目的とした[身土不二]」。自分が暮らす土地に産するものを食べ、地域での自給をめざす考え方だ。いくら有機栽培でも国外に頼っていたのでは、輸出国は砂漠化、輸入国である日本は富栄義化し汚染が進む。できるだけ狭い空間でエネルギーを循環させ、環境を損なわないことが大切だ。そのためにも無農薬、有機栽培。農業という生き方は身体をつくる食べ物と環境をつくる。 地域をつくる、環境をつくる。 農業という生き方。 福田康浩 一九六三年生まれ。北海道大学農学部を卒業後、石川県農業試験場に8年間勤務。 一九九五年退職し、就農。トルコ桔梗、フリージア、ストック、ヒマワリなどの花卉を妻とともに栽培。野々市町中林在住。