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==第八節 三役と村会==

 

第八節 三役と村会

 

 

  村制施行後は選挙により村会議員が選ばれたが、村会によって村長、助役、収入役その他区長、区長代理、学務委員あるいは後年郡へ出る役職の人達はすべて村会が選任した。

  村長は地域の首長としてその事務を担当し、国や県、郡などの委任の事務をつかさどり、さらに村政議決機関である村会の議長であった。したがって村会はほとんど諮問機関の役割を持つにすぎなかったが、村長もまた中央集権の末端機関の一面もあった。どこの町村長もあまりに強い上級官庁の権限に、役場吏員ともども県の指示に従わざるをえなかった。

  これは改化を急ぐ当時としてはやむをえなかったことと思われる。

  村会は十二名で編成され、納税額により一級、二級にわけて選出されたが、富奥に残っている文献ではだれが一級か二級か、そういったことは全然わからない。

  議事は選挙、予算、決算、規則改正、税務、土木、救済等諸般にわたって審議され、また、村の公共建築物はこれを監督した。現在富奥に残っている村会議事録の中から最初のもの、珍しいもの、変わったものを抜すいしてみた。

 イ 明治二十七年三月十七日、富奥役場内において村会開設

    議長 村長  永寛敬信

    出席議員  一番 小林庄太郎    二番 長井太左衛門   三番 宮岸与三右衛門

          四番 林七郎兵衛    五番 北岸安三郎    六番 藤田佐太郎

          八番 松本太郎吉    九番 谷九郎兵衛    十番 藤井孫右衛門

         十一番 中島吉太郎   十二番 山本紋兵衛

          七番議員 神田與三右エ門 欠席

     議件

  一、明治二十六年度富奥村歳入歳出予算追加の件

  一、明治二十六年中、富奥村事務報告の件

  一、富奥村財産明細表報告の件

  一、明治二十七年度歳入歳出予算の件

  一、明治二十七年分本村字中林区ほか十三ヵ区歳入歳出予算の件

  一、字三納区長代理者選任の件

 ロ 明治二十七年三月三十一日に開かれた村会では、歳出方款の三、消耗品の付記中「飛脚賃の一円を削り」とあるのは、現在の一円の価値と比較しておもしろい。

 ハ 明治二十七年五月二十五日 清金尋常小学校位置変更の件が可決されている。

 ニ 明治二十七年七月二十日 従来議長であった村長が町村制第十三条により、議長席を退いて年長者を議長に指名。

 ホ 明治二十八年九月二十九日 「避病院新築方は競走入札をもって請け負いを命ず」の付属決議がなされている。

   (現在は付帯決議といっているが、当時は付属決議といっている)

   避病院入院患者治療費等補助規程

 ヘ 明治三十年三月二十九日 本村巡査駐在所建物に関する規程の件

   本村長有給条例廃止の件

   本村立小学校増加敷地買収の件

 ト 明治三十九年九月三日 富奥村・中奥村・郷村三ヵ村合併に関する諮問の件

 チ 本村外二ヵ村合併村名に関し、県知事へ意見上申方諮問の件

 リ 明治四十三年三月十日 本村立尋常小学校に高等科併置の件

 ヌ 大正二年八月十二日 隔離病舎不用につき、これを取りこわし他へ使用方変更の件

 ル 大正六年四月二十三日 役場位置変更の件

 ヲ 大正八年四月二十四日 図書館設置の件

 ワ 昭和三年一月十日 今上陛下御即位大礼の予算

 カ 昭和七年二月二十六日 消防警鐘台建築の件

 ヨ 昭和八年二月十七日 上林区簡易水道補助の件

 タ 昭和八年九月三日 ポンプ購入の件(腕力ポンプから三輪自動車ポンプに切り替え、価格三、七八八円)

 レ 昭和十二年十二月八日 村葬をなすの件(支那事変の戦死者に対する村葬)

   

 

 

 歴代富奥村村長名

  藤村 嘉平  就任 明治二二・ 六・一七  辞任 明治二六・ 六・一六

  永寛 敬信  〃  〃 二六・ 六・一八  〃  〃 三五・ 七・二〇

  小林栄太郎  〃  〃 三五・ 八・二五  〃  大正 三・ 九・二三

  古源栄次郎  〃  大正 三・一一・三〇  〃  〃 一一・一二・二八

  谷 市三郎  〃  〃 一二・ 一・二五  〃  昭和一〇・ 二・

  小林千太郎  〃  昭和一〇・ 二・    〃  〃 一四・ 二・

  中島 栄治  〃  〃 一四・ 二・一七  〃  〃 一九・ 二・一五

  竹内 一朗  〃  〃 一九・ 二・    〃  〃 二二・ 四・

  山原 七郎  〃  〃 二二・ 四・    〃  〃 二六・ 四・

  村井 次一  〃  〃 二六・ 四・    〃  〃 三〇・ 三・

 歴代富奥村助役名

  藤井孫右衛門 就任 明治二二・ 五・二七  辞任 明治二五・ 三・一五

  古源 七兵衛 〃  〃 二五・ 四・ 五  〃  〃 三一・ 二・ 五

  藤井孫右衛門 〃  〃 三一・ 二・一五  〃  〃 三八・ 三・ 五

  北村 作次郎 〃  〃 三八・ 四・ 六  〃  〃 四〇・ 三・ 五

  松本 太郎吉 就任 明治四〇・ 三・一九  辞任 大正 四・ 八・二七

  北村 作次郎 〃  大正 五・ 二・一七  〃  昭和一〇・一〇

  中島  栄治 〃  昭和一〇・一一・ 三  〃  〃 一四・ 二・

  竹内  一朗 〃  〃 一四・ 二・    〃  〃 一九・ 二・

  村井  利八 〃  〃 一九・ 二・    〃  〃 二二・ 四

  田中  忠信 〃  〃 二二・ 五・    〃  〃 三〇・ 三・三一

 歴代富奥村収入役名

  永寛  敬信 就任 明治二二・ 六・二二  辞任 明治二六・ 六・二一

  杉内 初三郎 〃  〃 二六・ 六・二七  〃  〃 二七・ 八・二〇

  藤井 藤次郎 〃  〃 二七・ 八・二八  〃  〃 三一・一一・二七

  小林 栄太郎 〃  〃 三一・一一・二九  〃  〃 三五・ 八・ 一

  林   末吉 〃  〃 三五・ 八・ 八  〃  〃 三六・ 二・二〇

  吉田   仲 〃  〃 三六・ 三・一八  〃  大正 四・二二 二一

  藤井 藤次郎 〃  大正 五・ 二・一二  〃  昭和一五・ 二・

  村井  利八 〃  昭和一五・ 二・    〃  〃 一九・ 二・

  西村  康之 〃  〃 一九・ 二・    〃  〃 二五・ 二・

  谷   勝信 〃  〃 二五・ 二・    〃  〃 三〇・ 三・三一

 村 会 議 員

  明治二七年三月

   小 林 庄太郎   長井 太左衛門   宮岸與三右衛門   林  七郎兵衛   北 岸 安三郎

   藤 田 佐太郎   松 本 太郎吉   谷  九郎兵衛   藤井 孫右衛門   中 島 吉太郎

   山 本 紋兵衛   神田與三右衛門

  明治二十八年四月(半数改選)

   東   庄兵衛   小 林 庄太郎   神田與三右衝門   長井 太左衛門   松本七郎右衛門

   林  七郎兵衛   北 岸 安三郎   藤 田 佐太郎   谷  九郎兵衛   藤井 孫右衛門

   中 島 吉太郎   山 本 紋兵衛

  明治三十一年四月

   石 川 小三郎   仏 田 長 松   宮 岸 信 義   中 島 吉太郎   藤井 孫右衛門

   北 岸 安三郎   東   庄兵衛   小 林 庄太郎   谷  九郎兵衛   藤田  佐太郎

   山 本 紋兵衛

  自明治三十二年至明治三十六年の間は記録書類なきため不明

  明治四十年四月

   松 本 太郎吉   仏 田 長 松   石 川 小三郎   山 原 孫 市   谷   市三郎

   中 島 吉太郎   山 本 清太郎   藤 田 佐太郎   官 岸 信 義   東   庄兵衛

   北 岸 安三郎   長 井 初三郎

  大正二年四月

   藤 多 三太郎  北 村 作次郎  中 島 佐 吉  仏 田 長 松  古 源 栄次郎

   北 川 清次郎  山 田 與三六  西 尾 甚太郎  山 本 清太郎  長 井 初三郎

   宮 岸 他次郎  谷   市三郎

  大正六年四月

   中 島 佐 吉  小 林 千太郎  藤 多 三太郎  長 井 初三郎  宮 崎 庄次郎

   仏 田 常 吉  林   兵次郎  谷   市三郎  西 尾 甚太郎  山 原 市三郎

   山 本 清太郎  松 本 市三郎

  大正六年十二月二十二日

   吉 木 安太郎(松本市三郎の補欠)

  大正十年四月

   宮 崎 庄次郎  林   喜久松  吉 本 理 助  山 口 孫 七  山 原 七 郎

   中 島 佐 吉  谷   市三郎  吉 本 安太郎  西 尾 甚太郎  西 本 初三郎

   寺 西 藤 次  神 田 金次郎

  大正十四年六月

   中 村 善太郎  小 林 栄太郎  西 尾 甚太郎  村 上 佐太郎  吉 本 理 助

   山 原 七 郎  山 口 孫 七  藤 多 善 八  寺 西 藤 次  中 島 六三郎

   上 野 栄 吉  松 村 新太郎

  昭和四年四月

   上 野 栄 吉  竹 村 六三郎  松 本 長 吉  山 原 七 郎  山 上 喜 一

   村 井 次 一  藤 田 敬 治  土 田 與三松  中 島 六三郎  西 野 九 郎

   中 村 善太郎  小 林 栄太郎

  昭和八年四月

   中 村 善太郎  村 井 次 一  小 林 栄太郎  藤 田 敬 治  竹 村 六三郎

   竹 内 一 朗  山 原 七 郎  佃   安太郎  土 田 與三松  中 島 佐 吉

   上 野 栄 吉  松 本 長 吉

  昭和十二年四月

   安 田 庄 吉  村 井 次 一  作 田 久太郎  村 上 弥三郎  竹 内 一 朗

   田 中 忠 信  山 原 七 郎  進 村 信 長  土 田 與三松  中 島 一 孝

   北 岸 定 敏  松 本 長 吉

  昭和十六年四月

   竹 内 一 朗  平 野 正 松  進 村 信 長  松 本 長 吉  村 井 次 一

   作 田 久太郎  土 田 與三松  村 上 弥三郎  安 田 庄 吉  北 岸 定 敏

   山 原 七 郎

  昭和十七年七月

   田 中 初 治  本 井 次 吉  木 村 友 次  林   義 光  藤 井 善 治

   中 村 精 憲  中 野 太茂次  古 原 栄 美  村 上 弥三郎  山 原 七 郎

   村 井 次 一  作 田 久太郎

  昭和二十二年四月

   田 中 初 治  長 井 太 吉  宮 岸   清  中 野 太茂次  平 野 栄 吉

   林   義 光  島 崎 太 治  宮 川 隆 正  村 井 次 一  中 村 精 憲

   古 源 栄 美  藤 多 三 夫

  昭和二十七年四月

   千 田 正 之  新 森 義 貞  中 野 太茂次  高 桑 隆 次  長 井 太 吉

   平 野 栄 吉  東 田 幸 一  宮 岸   清  宮 川 隆 正  古 源 栄 美

   北 岡 清 松  高 橋 吉 次

  付記 昭和三十年四月、野々市町と合併

  合併後の富奥地区よりの町会議員

  昭和三十年四月

   田 中 初 治  高 桑 隆 次  中 村 精 憲  古 源 栄 美  神 田 直 信

   新 森 義 貞

  昭和三十四年四月

   田 中 初 治  小 林 信 夫  中 村 精 憲  畠   栄太郎  中 島 一 孝

  昭和三十八年四月

   田 中 初 治  西 尾   忠  西 本 敏 雄  中 島 一 孝  畠   栄太郎

  昭和四十二年四月

   竹 内 恍 一  西 本 敏 雄  西 尾   忠  作 田 庄 一

  昭和四十六年四月

   竹 内 恍 一  西 村 康 賢  作 田 庄 一  松 村   功

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富奥郷土史