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第十章 経済厚生と一村一心
(第十節 経済更生持別指定村)
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==第十節 経済更生持別指定村==

 

第十節 経済更生持別指定村

  富奥村の目覚しい経済更生運動は石川県下でも評判となり、その実績は不況下の農村の大きな支えとなっていった。

  昭和十一年、その実続と活動を政府も認めるようになり、ここに経済更生特別指定村として全国でも数少ない中に指定された。当時としては実に巨額の一万五千円の特別資金が交付されたのである。これを契機として各部落では共同作業場や設備の充実を図るべく、さらに大きく活動の基盤をつくったのである。

  経済更生特別助成事業実施状況表(昭和十一年度)

  事業別    実行主体        所要経費       助成金        竣工月日

 共同作業場  太平寺農事実行組合   一、三八六円七〇銭    六六一円二九銭  昭和十二年二月  十日

 共同作業場  上林農事実行組合    一、九四三円五五銭    七〇三円五〇銭    〃  三月三十一日

 共同作業場  粟田新保農事実行組合  五、〇二八円一八銭  二、一七四円○○銭    〃  三月二十九日

 聖農修練舎  富奥村           四四七円○○銭    一五〇円○○銭    〃  三月二十七日

           第一期分  計  八、八〇五円四三銭  三、六八八円七九銭

 共同作業場  三納農事実行組合    二、五九八円四四銭    九二六円四〇銭  昭和十二年六月 二十日

 共同作業場  末松農事実行組合    一、〇九四円四三銭    四七八円七五銭    〃  八月三十一日

 農道改修   上新庄農事実行組合   二、一八〇円九七銭    八七六円○○銭    〃  六月  五日

 用水路改修  清金農事実行組合    一、九五〇円二四銭    八六三円○○銭

 用水路改修  太平寺農事実行組合   二、〇六九円二〇銭    七六五円四五銭

 貨物自動車  富奥産業組合       二〇四〇円五〇銭    五八九円一一銭

 共同葬具   富奥産業組合      一、三八八円七六銭    六五〇円○○銭

 聖農修練舎附属農具舎 富奥村      二、六七円五一銭  一、一一六円○○銭

           第二期分  計 一七、五一一円九六銭  七、二〇八円七一銭

 共同作業場  富奥産業組合      四、五五三円一七銭  一、六〇二円五〇銭

 共同倉庫   富奥産業組合      六、四六八円〇九銭  三、〇〇〇円○○銭

           第三期分  計 一一、〇二一円二六銭  四、六〇二円五〇銭

           合計      三七、三七八円六五銭 一五、五〇〇円○○銭

  経済更生の実績は、村民の大きな力となり、たくましく発展するための団結の心となっていったが、やがてそれら

 のすべては大きな戦争へと歩んでいったのである。


 

 




 ▲ 1:第一節 経済更生の遠因と動機 2:第二節 経済更生村に指定 3:第三節 経済更生計画樹立 4:粟田トマトの栽培と加工場 5:第五節 上林の共同養鯉場 6:野菜園芸の共同栽培と出荷 7:第七節 農事改良組合の活動 8:第八節 改良和牛の導入 9:第九節 村の家(聖農修練舎)の誕生 10:第十節 経済更生持別指定村