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==第五節 公民館の輝く表彰==

 

第五節 公民館の輝く表彰

  公民館は昭和二十二年に創設して以来、館長はじめ関係者はいうまでもなく、各種団体や施設、機関が互に助け合い、連絡をとりあって、それぞれの本来の使命と目的に向かって進んできたのである。その公民館を拠点とする社会教育活動が年を経るに従って盛んになり、村の生産とか生活、または道義とか住民の融和と健康のうえに好影響をおよぼしたことは人の知るところとなった。そうした点を県教委や文部省の認めるところとなって、昭和二十九年度全国表彰公民館として選定されたのである。この事は望外のことであって、喜びと感激にたえないところであった。

  その表彰式は昭和二十九年十一月三日、文部省の大臣室において大達文相臨席のもとに行われた。全国表彰に輝く全国十四の公民館関係者が参列し、威儀正しく表彰式典が進められ、係官の開式の言葉、表彰状授与、文部大臣から丁重なお祝いの言葉があり、かわって十四の優良公民館を代表してわが中島喜寿館長が謹んで答辞を大達文部大臣に対し述べた。式後、文部省の正面玄関で記念撮影を行い、ついで皇居拝観を許されて一行は自動車で皇居前に至り、宮内省係官の案内を受けくわしい説明を聞いた。拝観を終わってから宮庭において天皇陛下の御親臨を仰ぎ、文部省寺中社会教育局長が陛下に日本における公民館を中心とする社会教育の現状をつぶさに御奉答申し上げ、陛下からありがたいお言葉を賜った。一行は陛下の御前を感激して退下し、帰り道、宮内省に中島館長が招かれ、一行を代表して記念煙草の御下賜を受けられ、度重なる御優待に一行は感謝と感激の念を一層深めた。

  この晴れの表彰式には富奥公民館から中島館長と西尾主事(西尾忠氏)の両名が参列、県教委からも塩田社会教育主事が参加した。

  表彰文は次のとおりである。

    表彰状

      石川県富奥村公民館殿

  右は郷土における生活文化の振興、社会福祉の増進等のため有益な事業を行い、社会教育の向上に多大の貢献をしたによって今後の発展を期待し、ここに優良公民館として表彰する。

    昭和二十九年十一月三日

                 文部大臣  大達茂雄

  この表彰状の外に文部大臣賞として柱時計一個、副賞として松下電気商会から六球スーパーラジオ一台を受領した。

  また、県教委から

    表彰状

      石川県富奥村公民館

  貴館はその組織運営よろしきを得、又施設の拡充と相まって社会教育団体の育成と連けい、青壮年教育婦人指導の徹底により、産業の振興、生活文化の向上に実効を挙げられ、郷土振興に寄与せられたので、その栄をたたえ石川県優良公民館として表彰いたします。

    昭和二十九年十一月十二日

                 石川県教育委員会

  この二つの栄誉はわが富奥公民館史上最大のものであり、表彰を受けて以後、以前より一層公民館に対する関心と期待が高まった。各種団体はそれぞれの立場において、現実と理想の矛盾を自己の課題として、これを究明解決しようとする積極的な態度が表われ、富奥公民館の特色とする「地上に天国を造る」を目標として、生活と生産と道義の一本化にますます拍車をかけ、新しい村造りをねらって前進した。

 

 

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富奥郷土史